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二階堂先生の「食べ物は薬」

カタバミ - 酸味のきいた食材で救荒植物でもあります

カタバミ
  • カタバミ
  • 学名:Oxalis corniculata
  • 科名:カタバミ科
  • 和名:カタバミ
  • 英名:creeping ladys-sorrel
  • 別名:スイモノグサ、スイグサ、スイバ、カガミグサ、ショッパグサ、スズメグサ、ネコアシ、モンカタバミ、ゼニミガキ

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原産地不明で、日本だけでなく各地の庭、畑、道端などに見られる多年草です。日本でのカタバミ科の植物としてはカタバミ属だけが分布していますが、熱帯地方中心に800種ほどが知られています。この中にはかつて徳川時代に、主に観賞用として輸入された南米原産で紫紅色の小花を咲かせるムラサキカタバミ Oxalis martina や、オギザリスローズとも呼ばれ大型の紅色の花を咲かせる南アジア原産のハナカタバミ Oxalis bowieana などが知られています。全体に有毛の茎は赤味を帯び、直立せずに地上茎が四方に10~30cm伸びて繁茂し、地面についた節から根を出します。

主根は褐色で基部が太く、土の中へまっすぐ深く伸びるため抜きにくく、繁茂すると駆除するのに困る植物です。

根の先端から束になって出る葉は長い柄があって互生し、小さなクローバーの様なハート形をした小葉3枚からなる複葉です。一般に葉の色は黄緑色ですが、紅紫色をした品種なども知られています。

春から秋にかけて葉腋から花柄を伸ばし、黄色の5弁の直径が8mm位の小さな花を咲かせますが、葉と花とは日中は開いていますが夜には葉を内側に畳んで閉じ、葉が半分に欠け、食べられたように見えることから片喰、傍食と呼ばれ、古語では食(は)むと言うことから、どちらもカタバミと詠みます。

花が咲き終わると花柄は下を向いて、その先端に細長く先がとがった円柱状の果実を上向きに付けます。熟してきてから触れると莢が5裂して赤い種子を勢いよくはじき飛ばします。1mくらいの所まで種子を飛ばすことで繁殖に有利となります。

茎や葉などを含め全草に水溶性のシュウ酸塩を含み酸味が強いため、生食は避け、よくゆでて水に浸した後に酢の物、天ぷらやサラダにすると酸味が味わえます。花はそのままサラダにして食べることもできます。漬物にしたり、茹でたりして救荒植物としても食べられました。

全草は酢漿草(さくしょうそう)と呼ばれる生薬で、消炎、解毒や下痢止めに有効とされ、肝炎にも臨床実験で効果があったとの報告も見られます。生の葉をすり潰して毒虫に刺された時や、疥癬などの寄生性の皮膚炎に効果があり患部に塗布して用いられます。

成分としては葉にシュウ酸をはじめクエン酸や酒石酸などが含有されています。

カタバミは強い繁殖力を持ち、根付くと容易には退治か難しい草のため、武士の世界では「家が途絶えない」と言う縁起担ぎから家紋の図案として用いられてきましたが、武士だけでなく商家や政治家、さらに学校の校章などにも広く使われています。

またカタバミ属(Oxallis)の葉から多量のシュウ酸が得られたことがoxalic acid の英名の由来とされています。また生の葉で真鍮や銅貨などを磨くときれいになることからゼニミガキの別名が知られています。


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