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御影雅幸先生の漢方あれこれ
陰陽と虚実漢方では、健康とは陰陽(いんよう)のバランスが保たれ五行(ごぎょう)の気のめぐりの調和した状態であると理解しています。 万物は陰と陽の部分から成り立っています。陰とは冷やす性質をもつもので、陽とは暖めるものです。磁石のS極とN極のように、単独では存在し得ない関係です。そのバランスが崩れた状態が不健康であると言え、病気が引き起こされると考えます。 例えば陰が不足する(この病態を陰虚(いんきょ)証と言います)と、相対的に陽が勝ち、身体には手足が火照(ほて)るなど部分的な熱が生じます。 漢方ではこうした病態を陰虚火盛(いんきょかせい)また陰虚火旺(いんきょかおう)と言います。治療には陰を補う薬物を用います。 一方、陽が多くなりすぎてもよく似た病態(これを陽実(ようじつ)証と言う)となります。 このように陰と陽の関係は常に相対的なもので、絶対的なものではありません。 勾玉(まがたま)を二つ合わせたような、よく知られた陰陽のマークの中にそれぞれ小さな反対色の点があるのは、陽の中にも陰の部分が、陰の中にも陽の部分があることを意味しています。 一方、加齢に従って徐々に陰と陽の量が減り、元気がなくなってきます。 いずれにせよ、漢方では不足は補い、過剰は出し去る療法が基本です。 |