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御影雅幸先生の漢方あれこれ
本治と標治とは中国医学と現代医学の違いはいくつもありますが,その一つに,漢方では常に原因を察知して取り除くことによって治療する点があげられます。 もちろん現代医学でも,例えば肝炎ウィルスを取り除いたり,腸内の病原性細菌を殺したりという原因治療を行いますが,いわゆる生活習慣病などではもっぱら対症療法しか行われません。漢方ではこうした病気にも原因を診断して取り除く治療方法が採られるということです。 中国医学では病気の原因に対処することを「本治(ほんち)」と呼び,その原因によって生じる症状を治療することを「標治(ひょうち)」と呼んで区別しています。 ![]() 例えば,肝気が昂っているために脾(消化吸収機能)が弱められて胃腸の調子が悪くなっている人に,いくら胃腸薬を与えても完治は望めません(→五行説)。 こうしたとき,肝気の昂りを押さえる治療が本治であり,胃痛や消化不良や食不振などを改善するのが標治です。 ![]() 一般には標治には即効性が求められますが,本治に応用される処方は即効性のものもあれば,長期間服用すべき処方もあります。 漢方薬は長期間服用しないと効果が現れないとされるのは後者を言ったものです。 |