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やたら汗をかき、喉が渇く…
夏ばてのせいか、疲れやすく、すぐ息切れする…
夏のそんな症状にお奨めの処方の一つ、
「生脈散(しょうみゃくさん)」について触れてみます。

□生脈散の処方内容

 生脈散の処方内容は以下の通りです。

 ・人参  10
 ・麦門冬 15
 ・五味子  6


□生脈散の効能

 ・益気生津(えききしょうしん)
  益気=気を補う。または気を生み出す働きを高める。
  生津=津液(しんえき)を生む。
     津液=体内に必要な液体成分。無駄な水分は「湿(しつ)」と呼びます。

 ・止汗生脈(しかんしょうみゃく)
  止汗=汗を止める。
     汗を止めることで、体内に必要な液体成分「津液」の消耗を防ぎます。
  生脈=脈を生む
     津液の消耗を防ぐことで体内に必要なだけの津液が留まり、
     気を増やすことで、津液の循環、つまり「脈」を生む事ができます。

 体内に必要な成分「気」「血」「水(津液)」のうち、
 「気」と「水(津液)」を増やす処方であり、さらに止汗作用により、
 「気」と「水(津液)」の消耗を防ぐ事が期待できます。


□生脈散の処方分析

 生脈散の主役(主薬)は人参ですね。
 人参には「大補元気(だいほげんき)」という、気を補う生薬の中でも、
 トップクラスの気を補う力があります。
 また、人参には「生津(しょうしん)」、つまり津液を生む働きもあります。

 麦門冬の主な働きは「生津」。人参にも生津作用がありますが、
 津液不足による症状を改善する際には、この麦門冬が良く用いられます。

 余談ですが麦門冬、「宮廷女官 チャングムの誓い」では、
 主人公チャングムが島流しに会い、後の医術の師匠となるチャンドクと、
 出合ったばかりの頃に登場した生薬でもあります。

 五味子は食べると酸っぱいのですが、その酸味が体を引き締め、
 必要以上に汗が出るのを防ぐ働きがあります。


□生脈散の適応症状 

 ・動悸・息切れ 疲労倦怠感
  本処方の主な使用用途ですね。疲れやすく動悸・息切れしやすい、
  といった方に処方します。
  気と津液を補うことで、気と津液の不足から来る諸症状を改善します。

  基本的に「補う」処方なので、
  動悸・息切れが、気や津液の不足から来るものではなく、
  無駄なものが多いと思われる方には、別の処方が望ましい事があります。

 ・多汗 口渇
  発汗を五味子で抑えつつ、発汗で失われる気・津液を補います。

  「汗が止まらない」方の「汗を止める」処方ではなく、
  「汗が止まらない」から、「汗が止まらないことで生じる不都合」をケアする、
  という処方と考えた方が良いと思います。
  止汗薬としての期待はあまりしないほうが良いかな、ということですね。

  津液が不足すると、それを補いたいという体の反応から、
  口乾、つまりのどの渇きを訴える方もいらっしゃいます。
  そういった症状にも向いてますね。


まだまだ暑い日が続きます。
自分はこの処方があってるかも?と思われた方は、
お気軽にご相談くださいませ。


参考:漢方方剤ハンドブック 菅沼 栄著



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