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 すっかり秋の気配を感じられるようになりました。朝夕寒いぐらいですがお変わり御座いませんか?
 旅に出て、いつの間にか私の10月は消えて行きました。

 10月10日に開局以来41年目を迎え、隠居? 相談役! として第一線を退くことができました。奇しくもコロナ下にあり、薬局として簡単に「カゼっぽい」とか「熱が出た」と云う方の相談に乗れなくなって3年近く、2020年2月19日に感染した初期のCOVID-19の後遺症で認知機能に障害が出たときに手伝ってくれた薬剤師たちに任せることにしました。
 まだ、一応 薬局管理者は私ですので、監視の目は光らせますが・・・・・ 大丈夫そうなので、10月7日広島に向かいました。日本漢方交流会 第55回全国学術総会「広島大会」にリアル出席するためです。9年ぶりの広島。美術館で〝ヨシタケシンスケ展かもしれない〟なる不思議な展示に納得。我が家にも何冊かの絵本が有りました。夜、樹木の間から月が(東京より月らしく)大きく、濃い色に思えたのは何故でしょうか?

 開局日の10月10日は漢方だけで無く人生の師、寺師睦宗先師の生まれ故郷、鹿児島で過ごしました。翌日 姪の住む宮崎に向かうローカル線が 寺師先生のお話で良く出ていた隼人や国分駅も通過。車窓から桜島も鑑賞、晴天の広い空とたなびく雲。やがて、広々と広がる田園風景と来し方行く末を思うのに十分な時間でした。
 宮崎では持参したPCR検査の陰性を確認して姪の生後一カ月の赤ちゃんと過ごしました。コロナにも負けずよく元気に生まれて来てくれたと思うと共に、この子が二十歳になる時、地球はどうなっているのか? 私はまだ地球上に居られるのか?
 その後 琵琶湖ホテルに戻り、京都漢方研究会にもリアル参加。
 初めて三週間近く開局中に薬局を留守にしましたが何事も無く世代交代が出来たようです。安堵!

小池加能拝  

昔、実家の駐車場にプリウスの新車が入っていて知ったのですが、ハイブリッドと聞くとガソリンと電気で走る車を想像しました。車内は飛行機の操縦席のようで静か、ただ、歩行者の立場では静かすぎて、直ぐ後ろに迫っていて驚かされること度々でした。

今や、ハイブリッドは学会や研究会の会場に出席しても良し、オンライン上で学ぶも良し、便利な時代に成ったものです。
9月の4回の日曜日は、オンライン拝聴4研究会。と三考塾発信1日をやってのけましたが・・・・流石に一日6〜7時間もZoomを見て居ると会場に出向くより疲れる様に思います。
自宅ですと調べたい時にすぐ手元に本もあり、眠たくなれば横にもなれるし、こちらからの音声を切っておけば独り言も問題ないし、お昼ご飯やおやつを用意して口福な時間でもあります。
大分このやり方に馴染んで来た25日、どうしても、参加したい講演会がダブりました。祖父のお回忌で永平寺に行く日と重なった1回を除いて31回参加し続けてきた第32回漢方治療研究会と九州研究会は午後からなので、一方をパソコンで、一方をtabletで拝聴しました。
さながら、高校時代に良くやった歴史の詰まらない授業中に数学を解く気分かと思いきや、歳のせいか? いや、両方を興味深く聞かねばならない現状に脳が悲鳴を上げました。眼のシャッターを閉じて脳への信号をカットしたらしいのです。気づけば、20分ほど経過しておりました。あ〜あ!・・・・でも、大丈夫。オンデマンドと云う後日配信されるものを見ることもできるのです。京都に行かなくても、福岡に行かなくても、キッチンででもオンデマンド配信を拝聴することが出来ます。
好きに学べる平和に感謝しつつ、秋の夜長を読書ならぬオンライン講義に嵌まっております。

朝夕寒暖差の大きくなる秋、手袋やマフラーを準備して散歩しましょう。お元気で!

                              小池加能拝  

 やっと長かった夏の暑さも退き爽やかな季節がやってきました。コロナにも負けず、またはコロナに罹ったけれども「元気です」と云って下さるでしょうか?

 このところ私はめまい持ちになってしまいました。緊張後「ホットする」荷卸し時のメニエール症候群的回転性げん(烈しいめまい)うん(動揺感や立ちくらみ感)の緩いモノなのに一日中動けない。
 日頃であれば(ストレスと感じないまま頑張り過ぎ)+(過食)+(運動不足)で起こす回転性眩暈には冷凍庫保存中の沢瀉湯たくしゃとう(沢瀉・蒼朮)を冷服し数時間で微かに発汗し調理出来たのに、効かないし、氣が上がって、発散できず眩暈が起こる時の茯苓桂枝朮甘草湯でも無いし。
 夏なので、口渇気味では在るが膀胱の氣化作用の障害による、浮腫・尿不利・頭痛・嘔吐は無く五苓散ごれいさん柴苓湯さいれいとうは考慮外。
 ふう(変化に富む)じゃによる高血圧などにも効く七物降下湯しちもつこうかとう釣藤散ちょうとうさんでも無さそう。
 月に1回程忘れた頃にやってくる眩暈なのです。経験上、月に1回起こる症状は、月のモノに似て瘀血が遠因のことが多いと気づき、3回目に起きた日に良性発作性頭位眩暈症を疑い、過去の臨床例から瘀血処理目的に桂枝茯苓加サフラン丸(赤芍薬)を服用すると的中しました。
 コロナ後の血栓症のための瘀血が原因でのめまいだったようです。

めまいも漢方薬のお得意とする病です。お試し下さいね。

 朝夕の急な冷えにはご注意下さいませ。
                              小池加能拝  

酷暑お見舞い申し上げます。

「コロナ予防に葛根湯」と良く耳にします。確かにCOVID-19が発生した真冬では、急性感染症の初期の症状を解表(汗をかかせて治療する方法)は有効ですし、太陽膀胱経(首や背中から腰に掛けて)の凝りをほぐして緩ませると予防になるのか?も知れませんが、真夏のタダでさえ、汗をかく暑さの中で葛根湯を服むと脱汗に繋がり反って危険です。

このところの感染力を増したらしい、オミクロン株BA.5は罹患した方の様子からインフルエンザ程にも思えるまでに弱毒化しているのかもしれません。
初期のCOVID-19とは初期症状も違います。

×喉の違和感や乾燥感、咽痛、怠さが始まったら、銀翹散ぎんぎょうさん荊芥連翹湯けいがいれんぎょうとう清上防風湯せいじょうぼうふうとう桔梗湯ききょうとうなどに加えて抗ウイルス薬の板蘭根ばんらんこんを追加。
×咽喉炎・高発熱に成ってしまったら、小紫胡湯合桔梗石膏湯しょうさいことうごうききょうせっこうとう紫葛解肌湯さいかつげきとうと敬震丹に抗ウイルス薬の板蘭根ばんらんこんを追加。
×肺に及んで欬が出だしたら、五虎湯ごことう清肺湯せいはいとう竹筎温胆湯ちくじょうんたんとうなどでしっかり治療。

予防に参考となる薬方は、各自、其の時々五臓六腑の虚を補い氣も血も津液も 過不足無く巡り、食べ過ぎ、運動不足、思い煩い過ぎで出来た痰飲を瀉すものの中から選薬し抗ウイルス薬の板蘭根ばんらんこんを追加。
精神的問題は無く氣と血を補い冷えの予防には十全大補湯じゅうぜんだいほとう
食欲不振から陽氣の落ち込み、目がショボショボし、氣怠く元気の不足感を感じたら補中益氣湯ほちゅうえっきとう
痰飲が多く(舌苔白𧸐)、日頃から消化器症状があって、頭痛には藿香正氣散かっこうしょうきさん
精神的不安と咳、胸苦しさ、不眠、驚きやすい、健忘症があったら人参養営湯にんじんようえいとう
氣も血も津液も不足し息切れ、心動悸、脈結代、虚煩不眠、咳嗽に炙甘草湯しゃかんぞうとう
疲労困憊し肝氣が伸びやかならず、肺が乾いて咳き込む、血痰、午後の微熱、寝汗、重苦しくだるさが取れない時には滋陰至宝湯じいんしほうとう。などと
駆瘀血剤として桂枝茯苓丸もお近くの漢方薬局で相談なさってご準備下さい。

上記の印は後遺症対策としても用いられます。

「1つ事3年3カ月3日」と聞いたことがあり、今まで色々と経験してきて納得の1200日弱(約40カ月弱)の必要性から考えると コロナ君退散までにあと半年は我慢を必要とする感じがしています。

暑さにも負けずお元気でいらして下さい。
小池加能 拝  

 大変お待たせ致しました。私のCOVID−19感染後の認知機能低下は何だった
のでしょう? 脳のMRI検査結果に異常はありませんでした。読影して下さっ
た先生曰く、「脳の一時的炎症?」と今思うと、脳内のゴミ(炎症後の老廃物ア
ミロイドβや瘀血!)だったの?
 
 理科実験時同様に台所仕事の段取りが良く早いことが自慢だったはずなのに、
グズグズして時間がかかる(実行機能障害)。昨晩予定したことを翌朝完全に忘
れている(記憶障害)。
 中でも一番不安だったのは、患者様の容態を聞いているそばから、忘れてい
く、この方の訴えはお体の何処に問題があるのか?効かせる漢方薬が思いつか
ない(理解力・判断力障害)。などの短期記憶喪失
 何より辛く焦りを覚えたのは、平成時代に30年間、寺師睦宗先生方から学
んだはずの漢方が頭から消えた事でした。(意味記憶も喪失
 8カ月後に研究室で再会した三考塾時にも先生方のお名前が出ない!講義準
備したことは全く役立たず・・・・真剣に認知症を疑いました。幸いに手続き
記憶
には問題が無く自転車には乗れましたが半年で10年ぐらい急激に老化現
象が進んでいるようでした。
   
 それだけではありませんでした、自宅待機中に小説を読もうとして、頁を繰
ると前の頁にどんなことが書いてあったか?分からなくなる不思議にとまどい。
 新聞を読んでも大見出し、小見出しとその内容の関連が解らない。
 聞き慣れたラジオの話の内容が掴めない。
 そのうち、「木陰にポキポキが見えたり、部屋の角にコロボックルがいてこち
らを見ていたり」など、パレイドリア(見えないはずのモノと会話する)が始
まり、ルビー小体型認知症を疑い、部下達に伝えサポートを頼むと、ひとりが、
「コロナの後遺症かもしれない」と云ってくれ、諦めずにこれも漢方で治して
みようと本気になれたものの・・・・予約をすっぽかすこと3回、買い物中小
銭での支払いができない。自転車置き場の番号を忘れる、自転車を見つけNO
を覚え、精算機の前に再び立つともう番号が出てこない。
 生まれ育ち、60数年通い慣れた神楽坂の路地で迷子になった感じがして、
「あれ? 何処に出るのかな?」自宅がどの方向か焦り、不安にもなったことが
数回ありました。一時は「これで、The end?」とも思えたのです。
 
 しかし、漢方では、「喜忘」「善忘」なる用語と薬方もあります。少し難しい
かも知れませんが、、、「しんは神(精神)を蔵して神明を主り、腎は精を蔵して随
(脳)を養い、脾は氣血生化の源で意(思)を主ることから、健忘は直接には
心の症状であるが、その原因は心、腎、脾の不足や失調に因るものと考えられ
る。」と先師の書物に有りました。
 諦めず、再度学び直す気持ちで色々調べる内に、記憶が戻ってきていました。
 遠志入りの人参養営湯や帰脾湯と感染以前から黄斑変性予防に服用していた
杞菊地黄丸を兼用して、心血を養い、腎精を滋し、時に補中益氣湯で脾氣を補
うと共に桃紅四物湯ベースの駆瘀血剤と交互に服用し続けているうちにあれ程
〝呆け〟ていた状態が改善できました。 
 加えて、完全玄米菜食は難しいので、二分搗き米にごま、味噌、大豆、納豆、
ゆば、豆腐、油揚など植物性蛋白質に鶏肉、豚肉、うなぎ、牡蛎、青魚、海藻
とたっぷりの五色野菜をいただきながら歳相応の動き方!にセーブ!しました。

 今年5月末の東洋医学会での治験発表例の中にも漢方薬の効果が確実に有る
という心強いものが多く、日本全国に実力有る漢方の先生がいらっしゃいます。
お悩みの方は尋ねてみて下さい。きっと良くなります。

 参考になった書籍
 ・『ボクはやっと認知症のことがわかった』 長谷川和夫/猪熊律子 共著 KADOKAWA
 ・『認知症世界の歩き方』 筧裕介 著 ライツ社
 ・『新型コロナ後遺症 完全対策マニュアル』 平畑光一 著 宝島社
 ・『脳のおそうじスープ』 内野勝行 著 アスコム

                              小池加能拝  


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