養生で大切なことは、
心の持ち方、飲食に節度を持つことです
日本では、一年で三万人以上の人が自殺で命をなくしています。「肉体と心(こころ)は相互作用する」ことを知ること、食事は肉体には当然ですが、心にも大きな影響を与えています。もともと「病気」という言葉が「病は気から」というように肉体的な疾病も精神的な影響から来るものが大きいですから、ストレスの多い現代は、精神的な修練も必要になってきます。
飲食について
冷蔵庫の普及で、冷えたものを飲食することが多くなりました。その結果低体温の子供がふえていると言われています。冷えはがん細胞の繁殖をうなします。現代日本では、二人に一人は癌(がん)に罹(かか)るといわれ、死亡率のトップになっています。体を冷やし過ぎないように注意したいものです。
暑い夏は冷えた飲み物が咽に心地よいのですが、食養生を唱えている人たちの間では、井戸水よりも冷えたものは体に良くないといっています。
常夏の南国では、果物が豊富でよく食べ、四足の動物は宗教的戒律で食べるのを戒めています。北極のエスキモー人は果物はおろか、野菜も少なく、生肉を常食しています。これは環境の陰陽(暑さ寒さ)と食べ物の陰陽(温める食品、冷やす食品)の調和をとっているのです。夏は陰性の食べ物が多くなりますが、体力のない人や夏でも冷えやすい人は陽性の食べ物を適時食べる必要があります。
食べ物の陰陽について、具体的に説明いたします。
“体を冷やす食べ物”
- ● 穀類
- 大麦、小麦、あわ、はと麦
- ● 水っぽいもの
- 水、牛乳、ビール、ウイスキー、コーラ、ジュース
- ● 野菜
- トマト、なす、きゅうり、セロリ、白菜、ほうれん草、春菊
- ● 南方産果物
- バナナ、パイナップル、レモン、スイカ、柿、梨
- ● 調味料
- 白砂糖、化学調味料、バター、マヨネーズ
- ● その他
- パン、コーヒー、緑茶、食品添加物、昆布、ワカメ
“体を温める食べ物”
- ● 穀類
- 米、もち米、そば
- ● 魚介・肉類
- 鶏肉、牛肉、羊肉、豚肉、うなぎ、海老、イワシ、にしん
- ● 根菜類
- ごぼう、にんじん、レンコン、ねぎ、たまねぎ、やまいも
- ● 野菜
- かぼちゃ、キャベツ、ニラ、ピーマン、しそ、にんにく、
しょうが、かぶ、小松菜 - ● 北方産果物
- リンゴ、さくらんぼ、みかん、プルーン、梅、桃、栗
- ● 調味料
- 塩、味噌、しょうゆ、黒砂糖、からし、トウガラシ、酢
- ● その他
- 植物性油脂、日本酒、ちりめんじゃこ、漬物、佃煮
惠木 弘・著 『快適な夏の過ごし方 四季の養生法』より