体を温める漢方の知恵
一年中、ショウガを使った料理を欠かさずに
体温を上げるのに一番便利な根菜
体を温める漢方生薬の解説を、という依頼で再び筆をとることになりました。
すごくいいテーマだと思います。
まもなく2人に1人はガンで亡くなる時代がやってくる、と言われていますが、体温が35℃台以下の人はガンになる率が非常に高いからです。
ガン細胞は正常細胞に比べ、より多くの熱を発しながら増えていくから冷えた環境が大好き、とか老廃物は発汗作用で体外に排出されるが、体が冷えて新陳代謝が衰えてしまった人は、老廃物を排出しにくくなってガンとなる、などと説明されています。
理由はともかく、冷え性の人にガンが多いのは事実。
逆にいえば、体温を高めることによってガンのリスクは減るということです。
体を温める漢方生薬は数多くあります。
なかでも、とりわけ温める効果が高く私たちの手近にあるのはショウガでしょう。
ショウガを用いる漢方生薬には生姜(しょうきょう)と乾姜(かんきょう)の2つがあります。
ヒネショウガの根茎をそのまま用いるのが生姜、ヒネしょうがのコルク皮を取り除いて乾燥したものを乾生姜(かんしょうきょう)といいます(中国ではこれが乾姜)が、日本では乾生姜を生姜として用います。
一方、ショウガのコルク皮を取り除き、蒸してから乾燥したものを日本では乾姜といっています。
このように日本と中国で定義が異なるため、生姜、乾生姜、乾姜の区別に混乱が多く、いろいろな弊害を招いているのが実情です。
ここでは日本の定義に沿って解説します。
乾姜は芳香があり、辛味が強く、質が固いものが良品で、中国産の乾姜は日本の乾姜に比べると辛味が強く、胃を温める効果がより優れています。
解説:惠木 弘(恵心堂漢方研究所所長)