体を温める漢方の知恵
一年中、ショウガを使った料理を欠かさずに
乾燥したショウガのほうが効果が高い
生のショウガの辛み成分はジンゲロン、ジンジャーオールなどですが、乾燥の過程でジンジャーオールはショウガオールという成分に変わります。
どちらも解熱、鎮痛や咳を止める作用がありますが、ショウガオールのほうがジンジャーオールよりも強い作用があります。
漢方で生姜より乾姜のほうが強いといわれるゆえんかもしれません。
漢方に「性味(せいみ)」という言葉があります。
「気味」ともいいますが、生薬の基本的な性質である寒・熱・温・涼の四気と、辛・甘・酸・苦・鹹(かん)の五味を含めた概念ですが、性味が違えば作用が異なり、同味でも薬性(温性・涼性・熱性・寒性に分類されます)が違えば作用が異なります。
これは古来の臨床経験から生まれた考え方で、患者さんに正しい処方を行うためには欠くことができない漢方のキモの知識なのです。
で、乾姜の性味は大辛、大熱。
脾胃(ひい)を温め、生気を取り戻す作用があります。
腹が冷えて痛い、嘔吐、手足の冷え、鼻水、くしゃみなどの症状に用います。
胃に対しては刺激性があるため、処方する場合は甘草(かんぞう)や大棗(たいそう)(ナツメの実)を配合するのが一般的です。
一方、生姜の性味は辛、温。
乾姜と同じような症状に用いられますが、吐き気がある場合はこちらを用いたほうが効果的です。
体を温める目的でショウガを使うのは手軽で効果の高い方法だと思います。
最近ではショウガ料理の専門店もできて人気を博しているようです。
結構幅広い料理にショウガは合いますから、冷え解消の食生活のためには一年を通してメニューに加えるといいでしょう。
ただし、ショウガ料理をつまみにしながら冷たい飲み物(ビール・氷水など)をとってしまうと、結局体を冷やす元になりますから、ほどほどに!!
解説:惠木 弘(恵心堂漢方研究所所長)