病気の悩みを漢方で

１．婦人更年期障碍（頭痛）に用いられる主な生薬と方剤

　婦人更年期障碍に伴う頭痛・頭重感の漢方治療では、頭痛に随伴するのぼせと冷えを指標にして適切な生薬を含む漢方方剤が選ばれます（図１）。

２．のぼせ、冷えのぼせを伴う頭痛

2.1） 桃核承気湯（ﾄｳｶｸｼﾞｮｳｷﾄｳ）は、のぼせと便秘を伴う頭痛に用いられます。
婦人更年期障碍の漢方（４）も参照してください。

2.2）女神散（ﾆｮｼﾝｻﾝ）も、のぼせ傾向の自律神経失調症状に用いられます。
女神散は心窩部のつかえ感や胸苦しさのあるときに適します。
桃核承気湯は便秘、腹部膨満感を伴う場合に適します（図２）。

　漢方薬名の意味：女神散では本方と関連する加味逍遙散（ｶﾐｼｮｳﾖｳｻﾝ）
を比較しています。

３．めまい、動悸、むくみを伴う頭痛・頭重感

3.1）苓桂朮甘湯（ﾘｮｳｹｲｼﾞｭﾂｶﾝﾄｳ）は発作的な動悸、息切れ、のぼせ、めまい
立ちくらみを伴う頭痛に用いられます。
　めまいの漢方（３）では本方と五苓散の使い分けを解説しています。

3.2）当帰芍薬散（ﾄｳｷｼｬｸﾔｸｻﾝ）は、体力の低下した人の婦人更年期障碍（冷え症）に頻用されます。めまい、耳鳴り、動悸、むくみを伴う頭重感に用いられます。
　婦人更年期障碍の漢方（２）を参照してください。

４．顕著な冷えを伴う頭痛

4.1） 当帰四逆加呉茱萸生姜湯（ﾄｳｷｼｷﾞｬｸｶｺﾞｼｭﾕｼｮｳｷｮｳﾄｳ）は、冷えによる頭痛をはじめ各種の痛みやしもやけ（凍瘡）に用いられる方剤です（図４）。
　婦人更年期障碍の漢方（８）を参照してください。

4.2） 呉茱萸湯（ｺﾞｼｭﾕﾄｳ）は、手足が冷えて肩がこる人の吐き気を伴う頭痛に用いられます。しゃっくりにも適します。
　本方は、吐き気を伴う片頭痛の第一選択薬です。

５．その他･･･川芎茶調散（ｾﾝｷｭｳﾁｬﾁｮｳｻﾝ）

　川芎茶調散は､かぜに伴う頭痛に適した防風（ﾎﾞｳﾌｳ）や荊芥（ｹｲｶﾞｲ）などの祛風解表薬（ｷｮﾌｳｹﾞﾋｮｳﾔｸ）を主体にした方剤です。
　一方､本方は､川芎（ｾﾝｷｭｳ：活血理気）や香附子（ｺｳﾌﾞｼ：理気､調経止痛）を含むので､気滞（ｷﾀｲ）や瘀血（ｵｹﾂ）の関与する月経前症候群（PMS）や婦人更年期障碍に伴う頭痛にも活用されています。